REPORT

ニューノーマルのワークプレイスを描く
~中部エリアでのこれから~

オンライン開催

1月26日にオンラインセミナー「ニューノーマルのワークプレイスを描く~中部エリアでのこれから~」を開催しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、これからの働き方や働く場所をどのように構築していけばよいか、中部エリアらしさをどのように活かしていけるか、これらの問いの答えのヒントとなるようなお話をいただきました。

ニューノーマルのワークスタイル・ワークプレイスを考える指針とは?

 

最初のパートは、オカムラが2020年秋に発行した「ニューノーマルのワークプレイスを考える指針」をオカムラの神山 里毅(WORK MILL X UNIT クリエイティブディレクター)が詳しく解説。これからの働き方を考える上でのオリジナルのフレームワークとしての11の視点「New Normal 11」と、さらにその中からニューノーマルにおいて特に重要となる4つの視点をご説明しました。そして、これからの働き方に合わせてオフィスは再構成していく必要があり、広い意味での働く場所を最適化し、それらの場所をワーカーが使いこなすことをサポートしていくことが重要である、ということをご紹介しました。

 

ワーカー同士の情報共有に着目したオフィス研究 ~ちゃんと雑談、していますか?~

 

2番目のパートは、「ワーカー同士の情報共有に着目したオフィス研究~ちゃんと雑談、していますか?~」と題し、リモートワークが日常となった中で重要性が再認識されている「雑談」にフォーカスしながら、さらに中部エリアの魅力とこれからについて、名古屋市立大学の佐藤 泰 先生(大学院芸術工学研究科 建築都市領域 講師 )にお話いただきました。

 

佐藤先生のお話の前に、後半のパートのモデレーターを務めるオカムラの上西 基弘(ワークデザイン研究所 第二リサーチセンター 所長)から、佐藤先生とオカムラとの共同研究成果も掲載した「WORK MILL RESEARCH ISSUE02」をご紹介しました。

◆ 「WORK MILL RESEARCH ISSUE02」はこちらからご覧いただけます!

 

佐藤先生は、人間科学の視点からみたワークプレイス・ワークスタイル研究をご専門としており、企業や公社との共同研究によって現場の行動心理を調査しながら具体的な空間や働き方の提案につなげていく、ということに取り組まれています。

 

佐藤先生からのトピックは3つ。

1つ目は、情報共有に対する意識や空間の好みについてのアンケート調査による日米比較について。アンケート調査の結果からご説明いただいたことはこちらです。

・情報共有の満足度が高いワーカーは、組織内でつながりを感じる相手が10~15人!この人数をこえても、情報共有の満足度はそれ以上高まりにくい。(日本とアメリカで共通)
・アメリカでは、「情報共有をすることがよいことだ」という意識が低い人でも高い人でも、同僚とかかわりを持とうとし、オープンな環境を好む。
・日本では、「情報共有のメリットをはっきりと感じられていない」人は同僚との交流やオープンな空間の利用に対して後ろ向きになりやすい。
・日本では、情報共有をしたくなるような雰囲気づくりができているかどうか、がオープンな環境の活用のカギ。

 

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2つめのトピックは、情報共有の意識向上とコミュニケーション活性化のしかけの効果についての調査です。この調査からわかったことはこちらです。

・自部門の中では、「仕事の情報」と「私的な雑談」があると仕事のより深い話ができる!
・部門をこえたコミュニケーションでは、「仕事の情報」と「私的な雑談」に加えて、「プライベートな情報」を知っているほうが仕事の相談もしやすい関係に!
・内向的なワーカーと若い世代のワーカーは、「偶発型」(偶発的に発生する会話)のしかけに効果を感じない。
・より多くの人にオープンなスペースでの偶発的なコミュニケーションを促すには、内向的な人や若い世代に対しての配慮や、時間をかけて相手を知る機会を作っていくような段階的な情報共有のしかけが有効。

 

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WORK MILL RESEARCH ISSUE 02, P31

最後に、「中部エリアのこれから」について、佐藤先生が委員として参加されている名古屋都市センター主催の研究会での議論についてもお話しいただきました。
キーワードはこちらです。

・可能性と課題:モノづくりという強みがある一方で、イノベーティブな発想を引き出すきっかけやモチベーションが欠けているのではないか
・魅力やリソース:首都圏と比べて感じる「ゆとり」や技術力、日本の真ん中に位置している立地
・ニューノーマルにおいて、分散化が進み多様になっていくなかで、人やアイデアが集う、出会う、まざる場を新しく定義してどう挿入していくかが重要

 

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クロストーク ~ 佐藤 泰 氏 × 上西 基弘

パート2の後半では、上西が加わり、佐藤先生との対話から、さらにお話を深めていきました。

上西:佐藤先生ご自身が感じている名古屋の魅力は?
佐藤先生:ほどよいスケール感の中で、若手でも熱意を直接まわりに伝えることによってチャンスを得られること

上西:佐藤先生のご研究と中部エリア・名古屋でのこれからについて教えてください。
佐藤先生:いろいろな人との対話により、アイデアを交換したり交流をすることによって新たな価値が生まれていく

 

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佐藤 泰 先生(大学院芸術工学研究科 建築都市領域 講師 )と上西 基弘(ワークデザイン研究所 第二リサーチセンター 所長)

 

ここからは、セミナーご視聴者の皆様から、ご視聴後にいただいたご質問やコメントを一部ご紹介させていただきます。

 

Q: コミュニケーションの活性化には、物理的なしかけ(カフェスペースの設置など)だけではなく、その場の空気をつくることが重要ではないかと考えています。その場の空気をつくるにあたり、重要なことは何かについて、ご意見をお聞かせください。

A
佐藤先生
「アクセルとブレーキ」の両方が必要かなと考えています。例えば、「普段使いたがらない人を誘い出すためにイベントや機会を設ける」ことも必要ですが、交流に苦手意識のある人を取り込むために「言い訳(交流以外の目的・機能の挿入)」や「逃げ道(自由参加・外から見える設いなど、苦手な人を避けられる)」を用意してあげることも必要だと思います。また、思ったことを言い合えるような、風通しのよい関係を日頃から構築しておくことも重要かもしれません。
上西
まず、お互いに「話してもよい場」という共通認識を持つことです。
そのためにも、場のコンセプトや利用ルールを周知しておくことが重要と考えます。偶発的なコミュニケーションの場合、他者と居合わせることが前提なので、機会創出のために「長居してもよい場」という共通認識も必要かもしれません。また、相手の情報を知っているほどお互いに会話が生まれやすくなるといえるので、普段から同僚の顔や名前、部署、担当業務、趣味などを共有できる場やしかけ(社内勉強会、写真入りプロフィール公開など)があることも重要と考えます。

 

Q: 仕事にも遊びを取り入れることで、創造性や効率が向上するのではないかと考えています。この点について、ご意見や有効な仕掛けなどの知見がございましたら、お聞かせいただければ幸いです。

A
佐藤先生
研究室の学生と名古屋市科学館に「ゼミの時間に遊びに」行ったことがあります。取り組んでいる研究に関連して「子どもたちは何に喜ぶのだろう?」を体感してもらうのが裏テーマでした。先日、ディスカッションをしていると、ひとりの学生が「科学館にあったアレみたいにするとよいのでは」と発案しまた。やはり、景色を変えるのはアイデアの展開に有効だと感じました(体を動かすことも?)。また、「秘密の共有」が仲を深めるとも言われているように、「一緒にサボっちゃおう!」というのは、雰囲気も良よくなるのではと思います。笑
上西
遊びを「余白」や「余裕」と捉えれば、目的や状況に応じて場所を選択したり、調節して働くABW(Activity Based Working)が該当します。オカムラ社内事例ではありますが、ABWの導入によって仕事の効率性、モチベーションが主観的に向上したオフィスもあります。
また、「気分転換」や「刺激」ととらえれば、仕事の合間にストレッチやヨガといった軽い運動を取り入れるアクティブレストも有用です。その他にも間食や仮眠、音楽・アート鑑賞など、リフレッシュ&リチャージの仕方は人それぞれなので、ニーズの高いものから試してみるのも一案です。

 

 

 

オカムラのご提案するニューノーマルにおける働き方を考えるフレームワークのご紹介から始まり、オフィスでのコミュニケーションについてのさまざまな調査結果とそこから導かれる効果的なしかけや環境づくりについて、短時間ながらたくさんの情報がつまったセミナーとなりました。

アンケートにも多くのご回答をいただき、佐藤先生からお話いただいた、アイデアを交換したり交流する機会にもなりました。今後もこれからの働き方や中部エリアらしさをみなさんと考え、対話し、描いていきたいと考えています。

 

 

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