ワーカーの属性と職場文化による情報共有に対する意識の違いを、特定の企業で調査した結果から見えてきた、情報共有促進のしかけや空間設定による効果についてです。
この調査では、「情報共有」を仕事にかかわるものかプライベートなものか、また、相手を知っている深さの2つの視点から整理し、さらにそれが自部門内と対他部門とで変わってくるか、ということを考えました。仕事のより深い話ができるようになるには、どのような取り組みが有効かを考えるヒントを探します。
結果としては、部門の中では、仕事の情報と私的な雑談が重要であることがわかりました。この2点が高まると、仕事のより深い話ができる、ということが見られました。部門をこえたコミュニケーションでは、仕事の情報と私的な雑談に加え、部門内の人よりも接する時間が短いので、プライベートな情報があったほうが話しやすい、ということがわかりました。
さらに、これらの調査を踏まえて、情報共有を促進する空間や空間が利用しやすくなるしかけはどのようなものが有効なのか、という点を実際のオフィスでの取り組みの評価からを分析した結果をお話いただきました。
今回対象としたオフィスでの取り組みのタイプは大きくわけて以下の4つでした。
・プッシュ型(組織から働きかけて情報提供するもの・朝礼やデジタルサイネージ)、
・選択型(休憩時に各自が自分の意向で行う会話・昼食や休憩時の会話)
・偶発型(偶発的に発生する会話・カフェカウンターや共同作業スペースでの会話)
・継続型(断続的/継続的に同僚とインタラクションを持つもの・部室(※)での会話や勉強会)
それぞれの取り組みに対して、効果を感じるかをワーカーに評価してもらい、ワーカーが内向的か外向的かという視点から結果を分析しました。その結果、内向的な人は「偶発型」に効果を感じない、ということがわかりました。見聞きするだけでいい「プッシュ型」や、時間が短く自分で選択できる「選択型」、ある程度クローズであったり、自分でいる・いないを選択できる「継続型」は、内向的な人も効果を感じている、という結果がでました。また20代の若い世代のワーカーも、内向的な人と同様の傾向が見られます。
ここから、オープンなスペースでの偶発的なコミュニケーションをより多くの人に活用していくには、内向的な人や若い世代に対しての配慮や、時間をかけて相手を知る機会を作っていくような段階的な情報共有のしかけが有効なのではないか、とご説明いただきました。