コミュニケーション活性化のための空間づくりとして、オープンなで立ち寄りやすい環境をつくる、という取り組みを実践されているオフィスは多いと思います。しかし、このような環境がうまく活用されないことも多いのではないでしょうか。
日本人は同調性が高いので、周りの目が気になってオープンな環境を使いこなすのが難しいのでしょうか。海外のワーカーのほうが自由に思い思いにふるまうことができるので、オープンな環境でコミュニケーションを円滑にとっていけるのでしょうか。
佐藤先生は、2000人規模のアンケート調査の日米比較から、ワーカーの意識の違いを測り、これらの疑問を紐解いていらっしゃいます。
アンケートの分析によってわかったことは、まず、組織内で個人が人とつながっている人数が10~15人くらいのときに、情報共有の満足度が高まるということ、そして、この点に関して日米の差はほとんどない、ということです。この人数をこえてどんどんとコミュニケーションの規模を上げても、情報共有の満足度はあまり高まらないのかもしれません。また、ワーカーが内向的であったり、階層的な職場文化にいると、つながりの人数が少なくなり、情報共有の満足度が下がるということもわかりました。
日米で差が出た点として、日本では、情報共有をすることがよいことだ、と思う人ほど職場の同僚とかかわりを持とうとする意識が高く、オープンな環境を好む傾向が強く出ています。これに対してアメリカでは、情報共有をすることがよいことだという意識が低い人でも高い人でも、同僚とかかわりを持とうとし、オープンな環境を好むという結果が出ました。
日本では、情報共有のメリットをはっきりと感じられていない人は、オープンな空間の利用や同僚との交流に対して後ろ向きになりやすいようです。
ここから、情報共有をしたくなるような雰囲気づくりができているかどうか、がオープンな環境の活用にかかわっていく、ということが言えます。