株式会社スノーピークビジネスソリューションズ 代表取締役 村瀬亮氏とNPO法人ハマのトウダイ 共同代表 岡部祥司氏からそれぞれの活動についてご紹介いただいた後、「人を大切にした働き方のデザイン」について考えました。 セッションの後半は、登壇者と受講者が一体となり、対話を深めていきました。
参加者:私は新規事業を生み出しやすくするための場づくりを考えています。芝生をひいてみたり、キャンプ道具を置いてみたりすることで、その場の利用者が増えてきています。トークで気になったのは「自分ごと化」という言葉です。これまで自社の社員の多くは、自分の言葉で商品を語るということがほとんどできていませんでした。「自分ごと化」するための実践過程で、例えば利益につながらないなど、難しいところは何ですか?
村瀬:うまくいくことばかりではないです。うまくいかないことも含めて会社をつくって行くこと、これを楽しむ必要があります。何をやるにも壁は必ずあるし、それを乗り越えることが前提です。性善説で強みを引き出すやり方ばかりをしていると、厳しさに対する耐性は少なくなる傾向があります。人間は不思議なもので、能力は順番にゆれながら上がっていきます。正解のひとつのやり方はないと思います。メンバーを褒めることの方が多いけれど、突き返すことも優しさではないかと葛藤することも多いです。自分もずっと考え続けています。
岡部:ミスは実は好ましいことで「ナイスミス」ではないでしょうか。ミスをすることがダメ、という体制がそもそもダメで、ミスを讃えることが大事です。子育てと同じで、小さな成功体験と承認欲求を満たすことが大切。「ちゃんと見ているよ」、ということもあるし、実際に見ていてもよい。小さいことでいいので、成功したことに対して讃える雰囲気をつくること。成長したい、よくなりたいとはみんな思っているのではないでしょうか。お金をめちゃくちゃ使っていると、さすがにそれは・・・となることも多いけど(笑)。
遅野井:現状は失敗のリスクが高すぎます。グッドミス賞を設けたりするとよいのかもしれませんね。
参加者:公園で会議するとか、「そんなことやっても・・・」ということに最初はなりませんでしたか? 最初の一歩のコンセンサスはどう取ったのでしょうか?
岡部:横浜市に企画を持って行く前から、市の公園の約1割は誰も管理していないことを関係者から事前に教えてもらっていて、これはよくない状態という認識がありました。この状態を解消するための愛護会をつくり、お荷物の公園のベスト10を教えてもらい、まずは掃除からスタートしました。掃除しながら来ている人に話しかけて、自治会の人や商店街の人と知り合いになりました。3ヶ月くらい続けると、おもしろいじゃないか、という人が1人くらいは現れます。そういう人たちとさらに愛護会をつくって、(その人を)申請者にすると、公園を自由に使えるようになります。それを「見せる化」し、メディアの人や知り合いに話をしておいて、「ログを残したい」と言って記事にしてもらいます。申請者になったおじいちゃんには、おじいちゃんのネットワークがあって、愛護会のメンバーは意気揚々とメディアの人たちに説明しはじめます。おじいちゃんも小さな成功体験をして承認欲求を得られます。
役所的には、公園で火を使うことはリスクに見えるので、彼らにとってのベストは誰も使わない公園ということになってしまいます。人は入れず、「綺麗だね」といわれる公園。だから、そことのせめぎ合いは確かに出てきます。自分は、まちにはいろいろなコミュニティがあるとわかっているから行動できる部分もあります。ただやり取りするとき意識することは、それぞれのコミュニティがあり、それぞれの人に正義はあるということ。行政の人は、日々クレーム対応をしています。一部を切り出すと悪い人に感じてしまうけど、日常を見るとそんなことはないです。そういうこともわかっていますよ、ということをしっかりと示します。
参加者:敵を味方にしたり、寄り添ったりといった成功体験は他にもありますか?
岡部:こういう考え方になったのは、色々な人に出会うようになってから。どちらかというと、自分はこうあるべきだと思うタイプです。「それもありだな」、と思えるようになって初めて成立するようになったし、楽になりました。
参加者:弊社の社員がスノーピークさんの見学に行って感想を聞いたりして、素敵な会社だなと思っていました。見せていただいたオフィスの写真の中にあった薪が、本物の木に見えました。会社でも暖炉を作ろうという話が出ていますが、本物の火を使うのは大変ですか?
村瀬:消防法の立場からいうと、ガラスに囲めば、大丈夫な例もあります。
岡部:火が出ない状態にはテクニカルにはできます。焼肉と一緒。換気扇をつけると、ビル内でもできます。
村瀬:本日“Cue”に持って来て真ん中に置いてある焚き火台は三重県の人に作ってもらいましたが、よろしければ担当してくれた人を紹介します。ただこれを飾っていたら、ダイナマイトみたいだともいわれたことがありますけど(笑)。
岡部:イミテーションではない暖炉ができるなら、絶対暖炉。直火は最高です。家の中の進化で一番変わったのはキッチンだと思っています。オフィスでそれをやろうとすると、キッチンはバックヤードになってしまう。今のキッチンをオフィスの中に持ってくるということをやってみたいです。焚き火と一緒。ビルの給湯を変えるのはめちゃくちゃお金がかかります。でも、スノーピークビジネスソリューションズにはキャンプ用のキッチンがありますし、岡村製作所とも取り扱い製品や事業内容がかぶらない可能性があると思っています。メーカーとやると、設備が・・・という話になり競合にもなり得てしまうので、オフィスに簡単にキッチンを設置し、コミュニティをつくりたいです。
遅野井:先ほど、組織と個人の関係の話がありました。組織に管理される、主体性を組織に預けるという関係から、もう少し成熟した関係にできないでしょうか。従業員と経営側が大人の関係になる、そんな関係を持てる職場は、どのようにつくることができるのでしょうか。個人のキャリアの希望を毎年書いたりするけれど、あまり聞いてもらえない。組織はなぜ聞いているのでしょうか。ひとりひとりを大人として見て、個人も主体性をしっかりと出すというバランスが大事なのだと思います。他にどんなキーワードがあると、成熟した関係になるのか探索したいです。
村瀬:自分のところの社員は主体性があるけれど、本当に経営視点で見れているのだろうか、と考えることがあります。所属が複数あり、名刺が複数あるという人が増えているような気がします。複数の名刺を持つと、ただの社員だと思われなくなります。(複数の名刺を持つことを)来年は会社に導入したいと思っています。
また、会議室にキッチンをつけたらすごく変わりました。居心地もすごくよくなりました。アウトドアは自然環境からいろいろもらうけれども、テントを設営したり、キッチンをつくったりということもある。そしてそれらにはいろいろなつくり方があります。これをオフィス内で実現できないでしょうか。自分の居場所づくりのコンテストとか、“Cue”で実施してみたいです。
岡部:名古屋城を見下ろすテントとかすごいよ!
REPORT
今回は、金城学院大学の2年生16人が授業「ソーシャルウーマンプロジェクト B」の一環でCueにやってきました!
「ソーシャルウーマンプロジェクト B」では、「共創」をテーマに、身近な困りごとや社会課題に対する解決方法の生み出し方について、グループワーク、プレゼンテーション、フィールドワークをまじえながら学び、現代社会におけるさまざまな課題を自分ごととしてとらえ、発想力豊かにその解決方法を仲間と一緒に考えていくプロジェクト学習です。そのうちの3回にわたりCueと実施します。今回はフィールドワークの初回です。
当日の様子をインターンシップ生の髙橋あひろがレポートします。
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REPORT
現在金城学院大学さんのソーシャルウーマンプロジェクトBという講義にCueが一部かかわっています。金城学院大学 人間科学部コミュニティ福祉学科の講義である、ソーシャルウーマンプロジェクトB。受講者の皆さんに共創という概念を理解・実感していただくための第一歩として今回、 MENNOLU LABO ・Cueの見学、また感じたことの共有を実施しました。
インターンシップ生の秀徳颯斗がレポートします。
※ソーシャルウーマンプロジェクトBとは
「共創」をテーマに、身近な困りごとや社会課題に対する解決方法の生み出し方について、グループワーク、プレゼンテーション、フィールドワークを交えながら学びます。現代社会におけるさまざまな課題を自分ごととしてとらえ、発想力豊かにその解決方法を仲間と一緒に考えていくプロジェクト型学習です。
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REPORT
名古屋市立大学佐藤研究室の学生方と株式会社カムロの方が、改装されて新しくなったCue・MENNOLU LABOにやってきました!
はじめまして!私は、名古屋市立大学芸術工学研究科修士1年の高橋あひろです。
学部時代も名古屋市立大学に所属していて建築都市デザインを学んでいました。卒業論文では、Cueで実際に行ったワークショップを研究対象とし、ワークショップにおいて参加者の身体的自由度や用いる什器が議論の盛り上がりにどのように影響しているか、について執筆しました。大学院でも同じテーマを引き続き研究しています。
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「これからのはたらく」を知りたい方、考えたい方、つくりたい方、相談したい方、見学したい方、仲間が欲しい方・・・
もし少しでも「ピン」ときたら、お気軽にCueにおたずねください。