REPORT

多様な働き方の実現へ向けて
~NTTドコモ東海支社はオフィスやルールをどう変えたのか?

CUE ACADEMY

オフィスリニューアルや移転など、働く場にかかわる方のリアルなお話をうかがったり、オカムラのエキスパートを講師として、ワークプレイスやオフィスづくりなどのテーマについてリアルにお話させていただく、CUE ACADEMY。
今回は、株式会社NTTドコモ東海支社の企画総務部のリモートワークの実践やオフィス改装について、ご担当の須田 隆宏さんからお話をうかがいました。

須田さんからのお話

 

須田さんからは、お話いただいたテーマは3つ。

1つ目は、「ドコモ東海グループにおけるオフィスの課題」について。
事業環境の変化とともに多くの社員の方が多種多様な業務につかれている一方で、オフィスの環境はどのフロアも基本的には画一的で大きな変化もなく過ごしてきており、働き方の変化に対し、十分に対応できているとはいえなかったそう。そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、リモートワークが急拡大し、オフィス環境に大きな変化が生じました。積極的にリモートワークを進められる部署では、オフィスに空席が目立つ一方で、出社が必要な業務に従事する部署では、これまでのオフィススペースでは感染防止対策としてのソーシャルディスタンス確保が十分とはいえないという状況になった、ということでした。

2つ目は、上記の状況を受けて取り組まれた、「リモート型の働き方に最適化したオフィスの構築」について。
場所にとらわれない、リモート型の働き方を実践することにより、生産性や効率性を向上させ、オフィスはコミュニケーションやディスカッションを通じてイノベーションを創出するための場、として位置づけました。具体的には、改装に際し従来の1人1席のワークスペースを廃止し、在籍人数の7割程度のワークスペースとすることで、新たなスペースを創出。その新たなスペースにはコミュニケーション推進のための仕掛けやウェブ会議をより快適に実施するためのワークブースを設置されました。

そして3つ目として、「フロアプラン変更までの苦労とフロアプラン変更後の工夫」についてお話いただきました。
タイトなスケジュールへの対応に苦労されながらも、働き方やオフィスを変える目的やルールを明確化し、スペースや家具の使い方を丁寧に社員のみなさんに説明されたそうです。部門や個人に新しいオフィスの使い方を考えてもらえるようにルールを提示しながらも、変更に対する柔軟性を示す、といった工夫もされたお話をいただきました。

後半は、今回の改装の営業担当であったオカムラの朱宮から質問をさせていただきながら、さらにお話をうかがいました。柔軟な働き方を実現するための、スーパーフレックスタイム制についてやリモートワーク推進のための工夫としてのトップダウンのメッセージの効果についてご説明いただきました。また、コミュニケーション活性化の試行錯誤の様子もお話いただきました。

 

Q and A

 

須田さんの具体的なお話に、参加いただいた方からも多くのご質問をいただきました。当日、須田さんにうかがいきれなかったご質問への須田さんからのご回答をこちらでご紹介したいと思います。

 

Q1.ノートパソコンやモニター用のコンセント確保について、どのように対応されましたか?

A. 家具配置の図面ができた段階で、必要な電源確保のための電気工事もあわせて実施しました。

 

Q2.古い什器類の撤去が大変だったなど、動いてからの課題はありましたか?

A. ご質問に対するストレートな回答になっているかわかりませんが、まず今回のフロア見直しでは什器のすべてを新しくしたわけではなく、古い什器の中でも使えるもの(書庫など)はフロア中央からは見えにくい奥側に配置するなど工夫して継続利用しています。
ただ十分なワークスペースの確保のため、各組織には今回のフロア見直しを機に書庫そのものの数を減らしていただくことをお願いしました。そのため工事前には書庫内の多くの書類整理を実施いただくなど、かなりご苦労をおかけしました。
そのおかげもあって、個人としてワゴンがなくなり、組織として書庫の台数の削減によって、会議、打ち合わせ、保管、さまざまなシーンでこれまで以上に紙印刷は削減され、資料は投影、会社サーバ内への保管が一層進んだのではないかと思います。

 

Q3.完全フリーアドレス、グループアドレスをどのように決められましたか?

A. フリーアドレスにするということ自体は我々の方で各組織に全体のルールとして決めさせていただきましたが、完全なフリーアドレスとはせず各組織のワークエリアは決め、そのエリア内のフリーアドレスの運用も統一的にはせず、各組織の実態に合わせて各組織で決めていただくことにしました。

 

Q4.事務所の総面積、家賃は変わっていませんか?

A. 今回ご説明したフロア見直しでは事務所の総面積、家賃自体は変わっていません。
今回効率化で生まれたスペースは、より広いスペースを必要とする他の部署のスペースとして転用して有効活用しました。

 

Q5.コミュニケーションについて、本当に会社の発展につながるようなコミュニケーションは増えていますか?

A. 目に見えるかたちで寄与しているか、ということをどのように測るのかは非常に難しいです。私個人の感覚にはなりますが、少なくとも固定席の頃と比べ、フロア見直し以降、週に1~2日出社した際に隣の席の人が毎回違うという今の環境は、自担当以外の人とのコミュニケーションが明らかに活性化し、仕事の相談も気軽にできるようになっています。

 

Q6.個人個人の席がなくなり帰属意識の低下や疎外感が強くなったりする社員はいませんか?

A. 今回のフロア見直しに限った話でなく、新型コロナウイルス感染症の拡大によって急速に進んだリモート型の働き方においてもそのような懸念はあるかと思います。したがって、部や担当の中で工夫し、「毎朝の担当ミーティングをウェブ会議で行う」、「週に1回の部全体での朝礼をウェブ会議で行う」といった以前からやっていた朝礼などを、ウェブ会議というかたちに変えて同じように行うことで、そういった帰属意識低下の懸念に対応しています。

 

Q7.本当にオフィスを変えてよかったと思いますか。全員の席数もないため今後の不安も多くないですか。

A. 自分が積極的にかかわったからということではなく、もっと早く実施できたらよかったのではないかと思うくらいやってよかったと私個人は思っています。全体的な意見としては、もちろんネガティブな意見もありましたが、ポジティブな意見の方が多かったです。
また、会社の方針として新型コロナウイルス感染症の状況にかかわらず今後もリモートワークは継続して実施していきますので、弊社の場合、今後も全員が出社するということにはなりません。ただ仮に全員出社となったとしても、確かに個人のワークスペースとしては全員分の座席はありませんが、実は共用の打ち合わせ卓や個人ワークブース、カフェスペースなどの共用スペースの席も含めると、所属する全社員がいずれかの席に着席することが可能になるように設計しています。

 

Q8.今回の4か月の設計・施工期間より前に、社内ではどのような準備や議論をされていましたか?「めざしたい姿」が決まっていたとお話されていましたので、その点お聞かせください。

A. 実は、新型コロナウイルス感染症の拡大における「リモート型の働き方に最適化したオフィスの構築」の議論は昨年夏くらいから部内で議論はしていました。先行してリモートワークの推進やそれに合わせた制度変更がされていましたので、これらの取り組みの趣旨とも共通する考えのもとでオフィスの再構築もあるべき、と部内で認識を合わせた上で、ある組織へ検討を打診していました。ただその組織でのフロア見直しが難しいということになってしまったのです。ですが、今後の「リモート型の働き方に最適化したオフィス」の先行モデルのようなものは、なんとか年度内に実施したいということになり、今回の見直しを実施することとなりました。

 

 

 

これからの働き方のあり方は、ひとつの正解があるわけでなく、企業や組織の数だけかたちや方法があります。これからも、CUE ACADEMYでは、多様な方にお話しをうかがいながら、働く場づくりについて企業や組織をこえて考える時間をつくっていきたいと考えています。

 

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