ツナガリ・シゲキ・ヒラメキをキーワードに、Cueに集う方たちのゆるやかなつながりをデザインしてきたCue。この「ツナガリ」は、これまで「リアルな場」を中心としたものでした。週に1~2回のイベント開催を中心に、多様な方たちにCueに実際に集まっていただき、対話をしたり、一緒に手を動かしてコミュニティを育ててきました。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響で、2月よりCueでのイベント開催の中止・延期を余儀なくされています。リアルな場をデザインできなくても、ツナガリを生み続けたい、コミュニティでなにかが生まれることを減速させたくない、そんな気持ちから、オンラインイベントの開催を模索しました。
ナゴヤ100人カイギは、昨年スタートしたプロジェクト。株式会社日建設計、名城大学、株式会社ユニソンとCue、名古屋に共創空間をもつ4組織で進めている共創プロジェクトです。100人カイギは、ゆるいつながりをつくるコミュニティ活動で、毎回5人のゲストスピーカーをお招きするイベントを定期開催し、ゲストと集まった参加者どうしの交流によってゆるい地域のコミュニティを育てます。1月末の時点で6回のイベント開催を終え、ゲストとして30人の方にお話をいただき、参加者は常連さんも現れ始め、のべ226名!2月末に第7回の開催を予定していましたが…
実際にゲストの話を聞くためにみんなで集まれない状況で、これからのナゴヤ100人カイギをどうしていこう?
ナゴヤ100人カイギで生まれた地域のコミュニティの力を発揮するのは、「いま」なのではないか?
2月の開催について、Cueのメンバーで話をしている中で浮かんだアイデアでした。
外に出られない、地域を離れられない、自分の地域を守らなければいけないときだからこそ、つながりを活かせるのではないか?こんな話をナゴヤ100人カイギのキュレーター(100人カイギ運営者のこと)メンバーと運営ミーティングで話をしました。そして、簡単に、ゆるく、いつものナゴヤ100人カイギのノリで、リアルでなくても集まって話をして、それいいね!とかやってみたい!とか協力するよ!と声を掛け合えないか。ナゴヤ100人カイギのコミュニティなら、そんなことが気軽にできるのではないか…
それぞれの共創空間でのイベント開催が中止・延期が続いているキュレーターたちのフラストレーションもあり、そして、まずはやってみようの前向きなノリで、オンラインイベント開催経験者はゼロから、「オンライン・ナゴヤ100人カイギ(番外編)」を開催することにしました。
すでに6回の開催を経験し、キュレーターも各共創空間でのイベント開催の経験は積んでいるため、通常、100人カイギの準備は確認程度です。しかし、今回は初のオンライン開催。シミュレーションや準備をしっかり行いました。
まずは、当日のイメージづくり。リアルのイベントでのノウハウと感覚で組み立て、あとはその場にならないとわからないな、という心構え。通常の100人カイギでは、毎回、5人の「ゲスト」にご自身の取り組みやこだわりを10分間プレゼンテーションしていただいています。今回は、スピンオフということで、「ゲスト」をイベント開催の告知などで事前にお知らせすることはせず、「トピック提供者」をその場でご紹介してお話いただき、そのトピックを中心にコミュニケーションがとれるような、よりフランクかつテーマ性のある対話の場を目指しました。
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、変化を余儀なくされたり、工夫や新しい取り組みを実践されている方に「トピック提供」を依頼。多様な角度から対話ができるよう、教育・飲食店経営・企業の採用担当・クラウドファンディング、の異なる分野の方にお声がけしました。
普段の業務で、社内外の方とのオンラインミーティングは実践していますが、オンラインイベントの主催はCueのメンバーも初めて。3月に入ってから、10人程度のワークショップの遠隔ファシリテーションを経験し、リアルとの違いを実感したばかりでした。
実際の運営については、その場のキュレーターの役割分担と場のルールづくりがキモと考えて、シミュレーションと準備をしました。役割分担は、ひとつひとつの役割をできるだけシンプルにしてそれぞれが自分の役割に集中することで、全体がうまく回るように考えました。(幸い、ナゴヤ100人カイギのキュレーターは総勢11名、当日は9名が運営に参加しました。)全体進行については、これまでのオンラインミーティングの経験から、役割としてはファシリテーション・進行、イメージはラジオのDJという認識をキュレーター間で共有し、2名アサイン。他の役割は今回利用することにした、Zoomの機能を確認しながら考えました。
イベントへの参加申し込みをオープンにすると、あっという間に想定していた定員の40名に達しました。たくさんの方が、こういった対話の場やオンラインイベントに興味を持っている、参加してみたいと思っていることがわかりました。40名をこえる人数の方と、さらには実際にお会いしたことがない方もいる中で、オンラインでつながるのはどんな場になるのか、期待が高まりました。
イベント開始の30分前にはZoomの会場をオープン。
当初は、キュレーターは一つの場所に集まって当日運営を行おうと考えていましたが、それも断念せざるを得ない状況になり、4か所にわかれての運営となりました。
時間になり、全体進行のDJトミー&ぶっちーの声がけでゆるりとスタート。ルールの説明のあと、Zoomの投票機能を活用して、参加者がどんなエリアから参加しているかアンケートをとってみました。岐阜や東海圏以外の東京や福岡などからも参加がありました。
最初のトピック提供者は、船橋株式会社の大谷さん。採用担当としての最近の工夫と困りごとをお話いただきました。
続いては、実家カフェ山田のオーナー近澤さんにお話いただきました。飲食店を経営される立場として、お店に込めた想い、そして今回閉店を決断された経緯をうかがいました。そして、株式会社教育と探求社の大野さんには、オンラインでの教育・学びの場の実践について語っていただき、最後は株式会社R-pro代表の岡本さんからクラウドファンディングを活用したプロジェクトで、未来の買い物をしてお気に入りの店舗を支援する、「BUY LOCAL nagoya」 のお話をしていただきました。
どのトピックにも真剣に耳を傾ける参加者の皆さんの画面越しの表情が印象的でした。トピック提供者も反応がないとしゃべりづらそうだったので、DJがうまく質問や相槌などフォローを入れながら進めました。
チャット機能を使っての質問やコメント、合いの手はオンラインイベントならでは。オンラインイベントに慣れているゲストや参加者がチャット欄から盛り上げてくれたり、アドバイスをくれました。
4名のお話のあとは、ブレイクアウトセッション機能を活用して5~6人ずつのグループにわかれて、より突っ込んだ対話の場へ…各グループにはトピック提供者とキュレーターが一人ずつ入り、全体では聞けなかったトピック提供者への質問や、参加者それぞれの最近の直面している状況などで盛り上がりました。
全体に戻ってからは、各グループでの話題の共有。各グループ対話が深まった様子で、時間が足りなかった!との声も多かったので、2回目のブレイクアウトセッションへ。1回目とは違うメンバーと、すっかり打ち解けた様子で各グループで話がはずんでいました。
最後は全体に戻り、DJを中心に約40名でのまとめ、そしてスクリーンショットで記念撮影をしてイベントは終了しました。
最後に、全体に投票機能を使ったアンケートで感想を聞いてみましたが、みなさんから、楽しかった!よかった!との反応をいただきました。ブレイクアウトセッションへの高評価や 「初心者は参加のハードルが下がりました!」とのコメントも。
一方で、音が時々途切れてしまった、携帯電話から参加いただいた方は2時間のイベントで最後は充電が切れかけになった、といったオンラインイベントなので起きてしまうトラブルについてのコメントもありました。
さらに、「リアルの方がやっぱりいいなぁ。」との声も。これは、100人カイギのスタイルとして、参加者どうしの自由な交流がポイントなので、そこの自由度が低いことはいつもの雰囲気を知っていると物足りなさを感じた参加者もいらっしゃったからかな、と感じました。自由な交流のなかで生まれている、イベント後のつながりをつくる方法も、通常は名刺交換やその場でSNS登録をしていましたが、オンライン開催ではこれに変わる方法も必要だと実感しました。
イベント後にSNS上のグループを作成したので、そこで交流や次への展開を生み出していければと考えています。
人と人のツナガリをデザインする、集まった人たちの対話を通して新たな価値を生み出す。これを、Cueというリアルな場を使って実践してきた私たちにとって、オンラインでのイベント開催は新しい挑戦でした。いい場になるのかな?という不安もありましたが、やってみたら楽しいはず!いまやらなくちゃ!という確信のもと、100人カイギを一緒につくっているキュレーター・共創メンバーと考えながら実現しました。Cueという場から生まれたツナガリや普段の雰囲気、ナゴヤ100人カイギのコミュニティがあってこその2時間だったと感じました。
今後も、人とのツナガリをデザインし、コミュニティやプロジェクトを生み、継続させていくことを続けていくCueにとって、オンラインイベントという新しいかたちの第一歩でした。これからも、新しいテクノロジーやツールを取り入れたり、いろいろな人とのたわいもない会話やこれやろう!という熱い気持ちをぶつけ合ったり、たくさんの工夫や試行錯誤を繰り返しながら、共創を実践していきます。
街で働く100人を起点にゆるやかに人のつながりをつくるプロジェクト「100人カイギ」。
ナゴヤ100人カイギでは、名古屋に所縁のあるゲストを毎回5人お招きして、日々の活動や働き方、生き方のこだわりなどを語っていただきます。
トークをきっかけにゲスト、参加者、キュレーターがゆるやかにつながるイベントです。名古屋の未来を明るくするプロジェクトが自然発生的に生まれるような場をめざしていきます。
REPORT
今回は、金城学院大学の2年生16人が授業「ソーシャルウーマンプロジェクト B」の一環でCueにやってきました!
「ソーシャルウーマンプロジェクト B」では、「共創」をテーマに、身近な困りごとや社会課題に対する解決方法の生み出し方について、グループワーク、プレゼンテーション、フィールドワークをまじえながら学び、現代社会におけるさまざまな課題を自分ごととしてとらえ、発想力豊かにその解決方法を仲間と一緒に考えていくプロジェクト学習です。そのうちの3回にわたりCueと実施します。今回はフィールドワークの初回です。
当日の様子をインターンシップ生の髙橋あひろがレポートします。
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REPORT
現在金城学院大学さんのソーシャルウーマンプロジェクトBという講義にCueが一部かかわっています。金城学院大学 人間科学部コミュニティ福祉学科の講義である、ソーシャルウーマンプロジェクトB。受講者の皆さんに共創という概念を理解・実感していただくための第一歩として今回、 MENNOLU LABO ・Cueの見学、また感じたことの共有を実施しました。
インターンシップ生の秀徳颯斗がレポートします。
※ソーシャルウーマンプロジェクトBとは
「共創」をテーマに、身近な困りごとや社会課題に対する解決方法の生み出し方について、グループワーク、プレゼンテーション、フィールドワークを交えながら学びます。現代社会におけるさまざまな課題を自分ごととしてとらえ、発想力豊かにその解決方法を仲間と一緒に考えていくプロジェクト型学習です。
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REPORT
名古屋市立大学佐藤研究室の学生方と株式会社カムロの方が、改装されて新しくなったCue・MENNOLU LABOにやってきました!
はじめまして!私は、名古屋市立大学芸術工学研究科修士1年の高橋あひろです。
学部時代も名古屋市立大学に所属していて建築都市デザインを学んでいました。卒業論文では、Cueで実際に行ったワークショップを研究対象とし、ワークショップにおいて参加者の身体的自由度や用いる什器が議論の盛り上がりにどのように影響しているか、について執筆しました。大学院でも同じテーマを引き続き研究しています。
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「これからのはたらく」を知りたい方、考えたい方、つくりたい方、相談したい方、見学したい方、仲間が欲しい方・・・
もし少しでも「ピン」ときたら、お気軽にCueにおたずねください。