最初に
「多様な人と一緒に仕事をしたり、知識や能力をお互いに活かしあうときに大切にしてくことはどんなことでしょうか?」
という投げかけに3名におこたえいただきました。
望月: お互いを尊重し合うことが大切だと思います。一人ひとり違う、という前提にたち、議論したり一緒に働くことで、お互いの意見が聞けるのではないでしょうか。
七野:オカムラ入社前に、配属先の所属長、直属の上司、人事部の方から、どういうことを助けたらいいか、配慮をしたらいいか、と面談で聞かれる機会があり、そこでいろいろと話をすることができました。
「できる・できない」は、一人ひとり違うので、当事者としても、遠慮せずにはっきり伝えていく、自分から発信していくことが大切だな、と考えています。相手が聞きづらい、と思うこともあると思うので、こちらが発信していくことも含め、対話が必要だな、と感じています。
安井さん:施設では、誰に対しても優しさや温かさを感じることができます。優しさや温かさが、障がいのあるなしが関係あるのかはわからないですが、施設での体験を通して、自分自身が会社での人とのかかわり方が変わっていきました。優しい気持ちやありがとうの気持ちを、会社や他の場面でも実現できるようになっています。
また、安井さんへのご質問、
「コミュニケーションをとることが難しいことも多いと思いますが、そのなかで共創をする、という部分で心がけていることはありますか?」
では、かかわりの面でのマインドセットを改めておこたえいただきました。
安井さん:施設に頻繁に行くようにすることが一番重要、と考えています。
作家さんだけでなく、支援者さんからも信頼してもらい、制作活動を支援してもらうことが大切です。その中で、できあがった作品を仕事としてつなげ、仕事になったものを手に取ってもらったり、ご家族・施設の方にみてもらう、ということを心掛けています。
自分で施設にいって、作品を選ばせてもらって、自分でお客さんに紹介して気に入ったものを使ってもらう、ということが重要なことだと考えています。
さらに、
「経験されている、さまざまなかかわりの中で感じる変化を教えてください。」
の問いにも続けて安井さんにおこたえいただきました。
安井さん:アール・ブリュットのお仕事は、単純な発注・受注のやりとりという、これまでの仕事のやり方と違い、お客様と一緒につくる、パートナーとして協力して作家さんの作品を世の中に出していく、というかたちで取り組みを進めることができていると感じます。顧客・印刷会社の担当という立場をこえて、人と人の付き合いや相談、やり取りができているように感じることが一番の変化や違いです。
トークセッションは、3名のスピーカーそれぞれの立場や経験を通したお話から発見や気づきを得る時間となりました。
障がいによる「できる・できない」は一人ひとり違う。周囲との対話によって、人間関係を構築したり、環境を整えていくことにより、得意なことを活かしたり、困りごとを減らし、一人ひとりが活き活きと働ける社会につながっていくのではないでしょうか。